突然ですが、ある時の僕の聴力検査の結果です。
ちょっと画像が小さくて分かりにくいのですが、ぱっと見てこのグラフが何を表しているか、読取ることができるでしょうか?
ざっくり言うと、
- 右に行くほど高い音。左に行くほど低い音
- 上に行くほど良く聞こえる。下に行くほど聞こえが悪い
- 〇が左耳。×が右耳
を表しています。
次に、こちらをご覧ください。
軽度難聴 [聴力レベル25dB以上40dB未満]小さな声や騒音下での会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。会議などでの聞き取り改善目的では、補聴器の適応となることもある。
中等度難聴 [聴力レベル40dB以上70dB未満]普通の大きさの声の会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する。補聴器の良い適応となる。
高度難聴 [聴力レベル 70dB以上90dB未満]非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない。しかし、聞こえても聞き取りには限界がある。
重度難聴 [聴力レベル 90dB以上]
両耳の聴力レベルがそれぞれ「平均70db以上」の場合には、判定医の診療により障害者認定を受けられる場合もある。補聴器でも、聞き取れないことが多い。人工内耳の装用が考慮される。
つまり、僕は低い音に限り中程度の難聴者という扱いになることが分かります。(両耳とも)
とはいえ、数字で示されても「それって実際どんな症状なの?」って話だと思うので、今回は中度難聴者が見えている世界についてお話します。
健常者の方も、難聴を患っている方も、「こんな感覚の奴もいるんだな」程度にご覧いただければ幸いです。
日常生活への支障
仕事編
カミングアウトの重要性
中程度の難聴って、日常生活には支障が出るのか?
答えはYESです。
低い音、つまり男性相手の会話は全体的に苦しいです。
特に業界柄なのか、ボソボソ喋る男性の方が多い職場なので、ぶっちゃけ1m以内で話を聞いていても9割聞き取れていないようなことがザラです。
「おいおい、そんなんで仕事できるのかよ!」というと・・・聞き間違いによるミスがあるのは否定できません。
なので、自分が難聴であることをちゃんとカミングアウトしてサポートを受けられる体制を作っておくことがとても大切。
昔は自分が難聴だと周りに伝えてしまうと評価が下がったり、避けられたりするのが怖くてなかなか言い出せなかったりしたのですが、難聴であることを知られてそんな扱いを受ける程度の関係であれば、どのみち長続きしません。
経験上、カミングアウトによって嫌な思いをしたことはないですし、むしろ理解を示してくれる方がほとんどです。
もし周囲に打ち明けられず迷っている方がいたら、絶対に伝えておくべきです。
周りに伝えてないと、「あいつ全然話聞いてないよな」と、信頼をなくすこと必至なので要注意。
突発性難聴者は意外と多い?
仕事関係で難聴のカミングアウトをしてみると「どっちの耳が悪いの?」と聞かれることがすごく多いです。
調べてみると、ストレスなどに起因する突発性の難聴では片耳だけに症状が出ることが多いみたいですね。そういった症状の人と接した経験がある人は意外と多いようで、こういう質問の仕方をされるみたいです。片耳だけだと例えば座席の配置を工夫して聞こえる方の耳が上手く使えるよう配慮する、といった対策が取れるんですよね。
そこで「いえ、実は両耳とも難聴なんです」と答えるとちょっと驚かれたり。難聴に理解のある人が多いという意味ではこちらにとってはありがたい話ですが、両耳とも悪いとなかなか有効な対策もないので周囲の人たちにとっても難しい話だと思います。
プライベート編
仕事に比べて困ることは少ないですが、例えばお笑い番組とか、早口でテンポよくやっている漫才なんかはほぼ何言ってるか分からないですね。
あとはなんだろう。
家の外で鳴ってる雨の音とか、ゲームの低い効果音とか、いくら耳を澄ませても聞こえない音はあります。ただ、僕の場合は低い音限定なので、夜中に外から聞こえる騒ぎ声など、聞きたくない音に限ってしっかり聞こえてしまうこともあるのでなんとも都合の悪い耳だな、と思うこともありますね。
一番困るのは、カラオケでサビ以外の部分で全然音が取れない曲があることでしょうか。地味に辛い!
それから、イヤホンの使用を避けるよう医者に言われています。絶対禁止というわけではありませんが。元から移動中に音楽を聴く習慣などなかったのでそこまで苦痛ではありませんが、ちょっと不便に感じることもあります。
難聴との上手な付き合い方
上でも書きましたが、自分が難聴であることを周囲にカミングアウトすることが難聴と付き合っていく上での最優先事項です。
難聴は外見で分かる病気ではありません。
年配の方ならともかく、一般的には若者で耳が聞こえ辛い人がいるというイメージはないでしょう。
聞こえないことで、人間性を疑われることは本当に悲しい。
ちなみに、個人的には聞き取れなかった時に「もう一度お願いします」は余り使いたくありません。
何度聞き返しても声が大きくならない人もいるし、嫌な顔をされることも少なくないですから。
なので、普段から口の動きと話の流れと場の雰囲気で何を話しているか読み取ろうと必死です。
それでも分からなければとりあえず笑顔で誤魔化すという逃げの手段も取ります。
笑顔で誤魔化すのは余り良い対処法ではないと分かってはいますが、それでもなんとか絶望的に信頼を失うことはなく(たぶん)やってきたので、これも一つの処世術かな、と思ってます。
こんな生き方をしてきたせいか、10人の人と会ったら9人には「すごい良い笑顔!」と褒められます。
難聴から得られた思わぬ副産物ですね。
中度難聴者に補聴器は有効か
そんなに支障があるなら、補聴器したら?という意見もあるかと思います。
実は補聴器も試してみたのですが、僕にとって一番聞きたい音域を拾ってくれる補聴器は現代の技術では作るのが難しいようです。
周りの雑音も増幅されてしまうので、肝心の音が良く聞こえない状態でした。
実際に試してみた様子は「20代にして難聴の僕が補聴器を試してみた感想と試用の流れを解説」という記事で書いているので、気になる方は参考にしてみてください。
結論としては、中程度の難聴では補聴器から得られるメリットは薄いと感じました。
ただ、補聴器も一昔前と比べると随分進歩しているので、今後、症状に合わせて適切に音を拾ってくれる製品の開発に期待しています。
あと、補聴器ってスピーカーのついた耳栓を耳にぶっこむ感じなので、やっぱり不快感はあるんですよね。
僕は耳がかぶれやすいので、どうしても実用に耐えませんでした。
骨伝導式の補聴器なども出てきていますが、使いやすさについても今後の改善に期待しています。
更に重度の難聴
学生時代、家庭教師のアルバイトで難聴の生徒を受け持ったことがあります。
彼は先天性の難聴だったので、言葉の発音が上手くできない状態でした。
耳が聞こえないと発音も上手にできなくなるということを目の当たりにして衝撃を受けた記憶があります。
彼は手話を覚えていなかったので、
- 僕は彼が何を言っているか分からない
- 彼も僕が何を言っているか分からない
そんな状態で、筆談を中心に3年間家庭教師を続けました。
上手く伝わらず、もどかしい思いを何度もしました。健常者からしたら僕も同じように見られているのでしょうね。
障がいの壁は厚いですが、それでも僕は理解したいし、理解されたいです。
まとめ
- 中程度の難聴は生活に支障あり
- 難聴は外見で分からないので、カミングアウトして周りの理解を得ることが大切
- 中程度の難聴レベルでは補聴器を使うほどではない
余談ですが、難聴になった原因は不明です。弟も発症しているので遺伝性なのかもしれません。
でも、ハキハキ喋る人だと普通にコミニュケーションは取れるので、音のある世界で生きられていることには感謝しています。