違和感を感じる表現
先日、外を歩いているとこんな看板を見かけました。
「この付近に駐車したり、物を置かないでください。」
この表現、どう思いますか?
正しくは「この付近に駐車したり、物を置いたりしないでください。」ではないでしょうか。
- 駐車する
- 物を置く
という2つの要素は並列の関係なので、表現を統一した方がいいはずです。
しかし!
「この付近に駐車したり、物を置かないでください。」という表現をしたい気持ちもよく分かるんですよね。意味は十分伝わりますし、「この付近に駐車したり、物を置いたりしないでください。」という表現は個人的にはちょっとくどいと感じてしまいます。
別の例を挙げましょう。
「ここで食べたり飲んだりしないでください。」
「ここで食べたり飲まないでください。」
全く同じ事例ですが、これは下の方が違和感がありませんか?
おそらく、「この付近に駐車したり、物を置かないでください。」は間に「物を」という目的語を挟んでいるため、「駐車する」「置く」の並列感が薄れて違和感を軽減できているのだと思います。
逆に、間に目的語のない「食べたり飲まないで」という表現は「食べる」「飲む」がダイレクトに繋がっているので、この表現は並列の関係だと認識しやすく、違和感が倍増してしまうのだと思います。
ブログと正しい表現の関係
国語の授業の作文や、研究発表の論文をはじめとして、公共性の高い文書ではこういった文章表現の正しさは重要視されますよね。下手すれば、内容が素晴らしいものであるにも関わらず、表現がおかしいだけでその内容の質を損ねてしまうようなことにだってなり得ます。
一方、個人ブログという媒体においては、文章表現における正しさよりも伝わりやすさの方が大事なのではないかというのが個人的な意見です。
ことさら信頼性が求められるテーマを扱っているなら少し話は変わってくるかもしれませんが、少なくとも雑記ブログであれば伝わりやすさや読みやすさを重視した方が読み手のニーズにマッチするだろうと思います。
ただ、あえて正しい表現を崩すのって時に勇気が必要です。
書く側としてもモヤモヤした気持ちになりますし、実際に正しい表現が使われていないことに対する指摘をいただくこともあります。
(ここで指しているのは「内容の正しさ」ではなく「文章表現の正しさ」についてです)
価値観の違いですよね。
文章表現の正しさに価値を見出す人にとっては、譲れない部分になるのでしょう。
しかし、文章表現の正しさだけが価値の基準ではないこともまた事実です。
余り細かい部分に目くじらを立てずに平和にやれたらいいな、と思います。
以上!